こんにちは、読書大好きナナチアンです。
今日は「朝日ぎらい」という橘玲先生の本を紹介します。
以前橘先生の本を大量購入した際の一冊で、正直難しかった。高校の現代文の教材になりそうな感じ・・・
でも何とか理論を追いかけていって、興味深い内容がたくさん。
いや~普段読まないジャンルを読むっていいですね。
ぜひ楽しんでください。
この本のテーマは「なぜ朝日新聞は嫌われるのか」
どうやら朝日新聞は嫌われているようです。
ちなみに実家に毎朝届いていた新聞は朝日新聞でした。
リベラルな朝日が嫌われる理由は
- 日本のリベラルが世界のリベラルと違う
- 今ある日本を批判する(アイデンティティを傷つけられると感じる)
そして、日本語で身近に罵倒できるポジションにいるからです。
一番最後のが一番わかりやすい(笑)
日本のリベラルについて
日本は「リベラル」と「保守」が逆転する不思議な国です。
ここでは政治について書いてあり、
保守=維持
リベラル=変革
な意味合いですね。
「リベラル」と「保守」が逆転するとはどういう意味かというと、
世代ごとに「この政党は保守的だと思いますか?リベラルだと思いますか?」という調査をしたところ、
若者と年寄りの認識が逆だった
という不思議な出来事がありました。
たとえば、
70代は「自民党は保守的だ」と思っているが20代は「自民党はリベラルだ」と思っている。
逆に、70代は「共産党はリベラルだ」と思っているが20代は「共産党は保守的だ」と思っている。
そもそも政治観というのは一定の年齢(20代)で固定化し、20代の時に「リベラルだ」と思ったらそのイメージは何年たっても残ります。
つまり自民党は、昔は保守的だったけど今はリベラルになった、ということですね。
ではなぜ自民党は、昔は保守的だったけど今はリベラルになったのでしょう?
- 人口減・高齢化・日本の借金などなど、改革しなければならない状況
- 保守派の支持率は(政治観が変わらないので)維持しつつ、リベラル派の支持率を上げる
実際に、安倍政権の支持層の中核は、意識高い系の10代後半~20代の男性です。
ところで、政党に対するリベラルと保守が逆転した世代がいつかというと、40代~50代です。この世代は政治観が固定する20代に、バブル崩壊・冷戦終焉や阪神淡路大震災を経験しました。
「変わらなければならない、そうでなければ、生き残れない」と体感した世代です。
アイデンティティについて
朝日を嫌う存在に「ネトウヨ(ネット右翼)」という人たちがいます。
ネトウヨは40代(20代で日本と世界の激変を体験し、右と左の価値観が逆転した世代)が中心で、ネットで朝日などを批判します。
ネトウヨが批判するのは特に下記3つ
- 韓国・中国に対する憤り
- 「弱者利権」認識に基づく、マイノリティ(社会的少数者)への違和感
- マスコミに対する批判
※弱者利権:立場の弱さを利用して権利を主張・獲得すること
ネトウヨは彼らなりの「正義」「公平さ」を求めています。
正義とは快楽ホルモンがでる気持ちいいものなので、ネトウヨはエンタメとして正義・公平さを主張します。
そしてネトウヨの中にいる、知識社会から脱落し、仕事や恋愛での自己実現に失敗し、日本人であること以外に誇るものがない人(現代社会で増加している)が、日本人というたったひとつのアイデンティティを守るために、リベラルな朝日を批判します。
そもそも朝日のリベラリズムとは「戦後民主主義」で、アメリカなどの戦勝国から「愛国」を禁止されていました。すると日本を批判するしかなくなってしまいます。
これがネトウヨに嫌われる原因のひとつです。
そもそもリベラルとは何か・なぜ保守派のほうが人気なのか
ここでやっと、リベラルの定義をしてくれます。
「己の欲せざるところ、他に施すことなかれ」とは、欧米で「イエローモンキー」と差別されるのが嫌な人は、日本で在日朝鮮人を差別してはいけません。
「ダブルスタンダード」とは、暴力反対を訴えている人が、家庭で子どもや奥さんに暴力をふるってけません。
「理想社会を目指す運動」とはよりよい社会に向かって変化・変革をしていくことです。
保守主義とは明確な定義はなく、「平等な人権」などリベラルの理想を受け入れつつ、普遍性や進歩主義に一定の留保をつける主義です。
元々リベラルとはLiberty(自由)から生まれた言葉で、宗教のくびきや封建的な社会制度からの自由をめざすことを言います。
それを現在では(政治思想として)このような主義をいいます。
リベラルの定義や主義はとてもすばらしいとわかります。
にもかかわらず、リベラルと保守では保守のほうが人気であり、その理由をご紹介します。
アメリカの道徳心理学者であるハイト博士が人の道徳基盤について述べています。
①<ケア/危害>子ども(家族)を保護しケアする、弱い者を守る。
②<公正/欺瞞>協力する者に報い、不正を働くものを罰する。
④<権威/転覆>階層の中で(上位や下位の者と)有益な関係を結ぶ。支配と服従
⑤<神聖/堕落>不浄なものを避け、精神や身体を清浄に保つ。宗教感情
⑥<自由/抑圧>自由と私的所有権を尊重する
①②⑥について、ここでは割愛させてもらいますがリベラルと保守で認識の違いがあります。
それに対して③④⑤は、保守派にあってリベラルにはありません。共同体への忠誠、権威への服従、神への崇拝は、ゆたかな先進国で世俗的な社会で高い教育を受けた典型的なリベラルがバカにするものばかりです。
保守派の政治的主張は①②③④⑤⑥すべてあるのに対し、リベラルな政治的主張は①②⑥しかもっていないため、有権者の目には道徳的基盤が6つあるほうが魅力的に見えます。
橘先生の主張・あとがき
- 日本では「日本人・男性・中高年・正社員」と「外国人・女性・若い・非正社員」という大きな身分差別がある。自由と自己責任がセットで、自己責任を主張するならば、この身分差別と決別し、差別の温床となっている日本的雇用を破壊する・
- 安楽死やドラック、売春も合法化し、すべて自己責任とする。
- 戸籍制度を廃止して、どちらかのイエに入るのではなく共同で資産や親権をもてるシンプルな家族制度にする。
- 自衛隊を国軍と認めて、きちんと制度を整える。
リベラルとは本来「よりよい未来」を語る思想ですが、いつのまにか戦後リベラルを担う層が高齢化し、「何一つ変えない」ことが彼らの利益になってしまいました。
そんななか、AIなどのテクノロジーによって社会を最適設定しようとするサイバーリバタリアンが、背後の強大なテクノロジーを武器に強い説得力をもち、今後影響を及ぼしてくるでしょう。
まとめ
なかなか濃ゆい内容ですよね。
そして橘先生は主張が一貫しているから、多分こういうことを言いたいんだろうなと考えながら読みました。
ナナチアンはどうかというと、「このままいったらどうなるか」を想像すると絶望的な日本の未来があるので、「変えなければならない」と思います。
だからリベラルになるのかな。
個人的に戸籍制度はマジで変えたいですね。
そのほかもムダが多いし、既得権益なんて大キライ。
こういう本で勉強するって大事ですね。